あかねさす 日は照らせど ぬばたまの 夜渡る月の
隠らく惜しも
             柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)
             (万葉集・169)

(あかねさす ひはてらせど ぬばたまの よわたる
 つきの かくらくおしも)

意味・・日は照っているが(持統天皇はおられるが)夜空を
    渡る月が隠れてしまう(草壁皇子が亡くなった)のは
    つくづく惜しまれる。

    草壁は父は天武、母は持統で、天武崩御後、ライバ
    ルの大津皇子を謀反の罪で除き、持統と供に政治を
    執っていた。草壁皇子は689年28歳で亡くなった。
    草壁即位の期待が空しくなり、嘆きを詠んだ歌です。

作者・・柿本人麻呂=生没年未詳。万葉時代の最大の歌人。