駿河路や花橘も茶の匂ひ
               芭蕉
               (炭俵)
(するがじや はなたちばなも ちゃのにおい)

意味・・江戸から東海道を通って、駿河国あたりに来ると、
    この街道筋は暖かい地方なので、白い橘の花があ
    ちらにもこちらにも咲いてよい香りを放っている。
    だが、それにもましてこの地方は製茶が盛んで、
    さすが香気の高い橘の花までも、茶の匂いに包み
    こまれてつまうようだ。

 注・・駿河路=駿河(静岡県)を通る東海道筋。
    花橘=橘の花を賞美している語。橘は一種の蜜柑。

作者・・芭蕉=1644~1695。「奥の細道」「野ざらし紀行」。