無き人の小袖も今や土用干
                 芭蕉(ばしょう)
                 (猿蓑)
(なきひとの こそでもいまや どようぼし)

詞書・・千子(ちね)が身まかりけるを聞きて、美濃の国 
    より去来がもとへ申しつかはし侍(はべり)ける。

意味・・土用の季節に、ここかしこで虫干しの風景を
    見かけるが、お宅でも今は悲しい形見となった
    亡き妹御の小袖などを土用干しして、さらに
    在りし日の事などを偲んでいる事でしよう。

 注・・千子=向井千子。去来の妹。1688年25歳での
     若さで病没。
    小袖=男子または婦人の着る袖の小さな常服。
    土用干=カビ、虫等の害を防ぐため、夏の土用
     中の快晴の日に、衣類等日陰に干すこと。

作者・・芭蕉=松尾芭蕉。1644~1695。「奥の細道」。