人皆は 萩を秋と言ふ よし我は 尾花が末を
秋とは言はむ
           読人知らず
           (万葉集・2110)
(ひとみなは はぎをあきという よしわれは 尾花が
 うれを あきとはいわん)

意味・・世間の人は皆、萩こそが秋を告げる花と言う。
    よしそれならば、私は尾花の穂先だって秋ら
    しいのだと言おう。

    萩の花に秋の到来を喜ぶ一方、尾花に秋の風情
    の深まりを期待する歌です。

 注・・よし=縦。不満足ではあるがしかたがないと
     許容・放任する意を表す。ままよ。
    尾花=薄のこと。