草の原 涼しき風や わたるらん 夕露またぬ 
虫のこえごえ
            心敬(しんけい)
            (寛正百首・41)
(くさのはら すずしきかぜや わたるらん ゆうづゆ
 またぬ むしのこえごえ)

意味・・草原を夕方の涼しい風が吹き渡っているから
    だろうか。夕露を待ちきれず鳴き出した虫の
    声々が聞える。
 
    夕べを待ちきれず鳴き出した虫の声に、季節
    の変化を感じている。

 夕露=はかない命を暗示。虫も短い命を力いっぱい
  鳴いていることも暗示している。

心敬=1406~1475。権大僧都。