玉ぐしげ あけぬくれぬと いたづらに 二度もこぬ 
世をすぐすかな
                   木下長嘯子
           
(たまぐしげ あけぬくれぬと いたづらに ふたたびも
 こぬ よをすぐすかな)

意味・・夜が明けた、日が暮れたといって、何をなすこともなく、
    二度と来ないこの世を過ごすことだ。
 
    何事も成し得ない無力な自分を嘆き反省した歌です。

 注・・玉くしげ=「あけ」に掛かる枕詞。
    あけぬくれぬ=夜が明けた、日が暮れたと言って年月を
     過ごすこと。

作者・・木下長嘯子=きのしたちょうしょうし。1569~1649。
    秀吉の近臣として厚遇された。若狭小浜の城主。関が原
    合戦の前に伏見城から逃げ出し隠とん者となる。

出典・・歌集「林葉累塵集」(小学館古典文学全集「中世和歌集」)