雲のうえ 春こそさらに 忘られね 花は数にも 
思ひ出でじを
            藤原俊成(ふじわらのとしなり)
            (千載和歌集・1056)
(くものうえ はるこそさらに わすられね はなは
 かずにも おもいいでじを)

詞書・・遁世ののち花の歌をよめる。

意味・・宮中での春を一向に忘れられないことだ。花の
    方では私を物の数にも思い出さないだろうが。

    華やいだ頃の昔の懐旧を詠んだ歌です。

 注・・雲のうえの春=宮中の花の宴など。
    さらに=否定語を伴って「決して」。
    数=数えるのに価値のあるもの、ものの数。

作者・・藤原俊成=1114~1204。正三位非参議皇太后大夫。
     53歳で出家。「千載和歌集」の撰者。