いにしへの 倭文の苧環 いやしきも よきもさかりは
ありしものなり
               読人知らず
               (古今和歌集・888)
(いにしえの しずのおだまき いやしきも よきも
 さかりは ありしものなり)

意味・・しずの苧環(おだまき)という語があるが、賎(しず)の
    男(いやしい者)にも、身分の高い人にも、それ相応に
    男ざかりはありましたよ。

 注・・倭文(しず)の苧環(おだまき)=「倭文」は模様のある
     古代の織物の一種。「苧環」は「倭文」を織るため
     の糸を球状に巻いたもの。「倭文」は「賎(しず)」
     と同音であるので、「賎」と同義の「いやしき」に
     かけた序詞。
    いやしきも=賎しい者も。
    よきも=身分の高い方も。
    さかり=男ざかり、女ざかりの意。