露と落ち 露と消えにし わが身かな なにはのことも
夢のまた夢                
            豊臣秀吉(とよとみひでよし)
            
(つゆとおち つゆときえにし わがみかな なにわの
 ことも ゆめのまたゆめ)

意味・・露のようにこの世に身を置き、露のように
    この世から消えてしまうわが身である。
    何事も、あの難波のことも、すべて夢の中
    の夢である。

    大阪城を築き、天下を統一して、多くの欲望を
    実現させて来たが、それを永続させる事は出来
    なかった。落城した今、振り返って見ると過去
    の良い思い出は全て夢となってしまった。過去
    の出来事は何であったのだろうか。
    健康である間、お金がある間、したい事をして
    来たのだろうか。お金(欲)を得るのを目的にし
    ていが、これは手段ではなかったのかと、今、
    思う。

    死の近いのを感じた折に詠んだもので結果的
    には辞世の歌となっています。

            参考、唱歌「荒城の月」です。
    https://youtu.be/7rB5OZLrCho   

 注・・なにはのこと=難波における秀吉の事業、また
    その栄華の意と「何は(さまざま)のこと」を
    掛けています。

作者・・豊臣秀吉=1536~1598。木下藤吉朗と称し織田
    信長に仕える。信長の死後明智光秀を討ち天下を
    統一する。難波に大阪城を築く。

出典・・詠草(笠間書院「和歌の解釈と鑑賞事典」)