浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 
人の恋しき         
          源等(みなもとのひとし)
          (後撰和歌集・577百人一首・39)

(あさじうの おののしのはら しのぶれど あまりて
 などか ひとのこいしき)

意味・・浅茅に生えている小野の篠原のしの、そのしの
    ではないが、忍びに忍んできたけれど、どうし
    てあの人のことがこうも恋しいのでしょう。

    人目を忍ぶ恋ではあるが、その思いが抑えきれ
    ず恋の思いの激しさを詠んでいます。

 注・・浅茅生=「浅茅」は丈の短い茅(ちがや)、「生」
     は草や木が生える所。
    小野の篠原=「小」は調子を整えるための接頭語。
     「篠原」は細い竹の生えている原で荒涼とした
     状態を表している。初句からここまで「忍ぶ」
     にかかる序詞。
    あまりてなどか=自分ながらどうしようもない。
     「あまり」は度を越すこと。「などか」は疑問
     の意を表す、なぜか。

作者・・源等=880~951。正四位下・参議。