鶉鳴く 真野の入江の 浜風に 尾花なみよる
秋の夕暮れ 
          源俊頼(みなもとのとしより)
          (金葉和歌集・239)
(うずらなく まののいりえの はまかぜに おばな
なみよる あきのゆうぐれ)

意味・・鶉が悲しげに鳴いている真野の入江に吹く
    浜風によって、尾花が波うつようになびい
    ている秋の夕暮れよ。

    薄の尾花に鶉の声を配して、秋の夕暮れの
    物寂しい情景を詠んでいる。

 注・・鶉鳴く=万葉時代の表現で、恋人に捨てら
      れて泣く女性を暗示し、寂しさが伴う。
    真野=滋賀県大津市真野町。
    尾花=薄の異名。

作者・・源俊頼=1055~1129。左京権大夫・従四位上。