(12月28日)


いたづらに 過ぐる月日も おもしろし 花見てばかり
くらされぬ世は
              四方赤良(よものあから)
              (万載)
(いたずらに すぐるつきひも おもしろし はなみて
 ばかり くらされぬよは)

意味・・なんということもなく過ぎてゆく月日でも、本当は
    面白いのではないか。春だからといって、花を見て
    ばかりでは、暮らして行けない世の中なんだから。

    本歌の発想を揶揄(やゆ)しながら、平凡な日常の現実
    に誠実に生きようとする作者の態度です。

    本歌です。

    いたづらに 過ぐす月日は 多かれど 花見て暮らす
    春ぞすくなき
             藤原興風(ふじわらのおきかぜ)
             (和漢朗詠集・49、古今集・351)

   (いたずらに すぐすつきひは おおかれど はなみて
    くらす はるぞすくなき)

    何もしないで過ぎていく一日一日は多いけれども、
    いざ春となって花を見るとなると、楽しい春の日
    というものは本当に短いものだ。

 注・・いたづらに=なんのかいもないさま。
    揶揄=からかうこと。

作者・・四方赤良=1749~1823。支配勘定の幕臣。「万載狂歌
     集」「黄表紙」。