夕されば 潮風越して 陸奥の 野田の玉川
千鳥鳴くなり
           能因法師(のういんほうし)
           (新古今和歌集・643)
(ゆうされば しおかぜこして みちのくの のだの
 たまがわ ちどりなくなり)

意味・・夕方になると、海の潮風が吹いてきて、陸奥の
    野田の玉川に、千鳥の鳴く声が哀調を帯びて聞
    えてくる。
  
    陸奥に旅をした時に詠んだ歌で、都から遠く離
    れた旅路の寂しさを詠んでいます。

 注・・夕されば=夕方になると。
    潮風越して=海の潮風が吹いてきて。
    陸奥(みちのく)=岩手県・宮城県の地域。
    野田の玉川=岩手県九戸郡野田村玉川。岩石が
     多く、断崖もそそり立ち、北は三崎の岬、南
     は黒崎の岬があって絶景の地。
    千鳥=すずめより少し大きな水辺の鳥。哀調を
     おびた鳴き方をする。

作者・・能因法師=988~?。中古三十六歌仙の一人。