今こそあれ 我も昔は 男山 さかゆく時も 
ありこしものを
             読人知らず
            
(いまこそあれ われもむかしは おとこやま さか
 ゆくときも ありこしものを)

意味・・今でこそこんなに衰えているが、私も昔は
    一人前の男で、栄えてゆく時があったのに。

 注・・あれ=である。「衰える」を補って解釈する。
    男山=京都市綴喜(つづき)郡にある山。
       「さかゆく」の枕詞。
    さかゆく=「坂行く」と「栄える」の掛詞。
    こし=「来し」と「越し」の掛詞。 
            ありこしものを=あったのだがなあ。

出典・・
古今和歌集・889。