散り散らず 聞かまほしきを 古里の 花見て帰る
人も逢はなむ
                  伊勢
              
(ちりちらず きかまほしきを ふるさとの はなみて
 かえる ひともあわなん)

意味・・もう散ってしまったか、それともまだ散らずに
    残っているか、聞いてみたいのだが、古里の花
    を見て帰って来る人がいれば、逢いたいものだ。

    古京奈良の花見の様子は昔と同じように華やか
    であったかを聞いて、昔を偲びたい気持ちを詠ん
    でいます。

 注・・古里=ここでは古京奈良の都、和歌では衰えて
     いくものに対する愛惜の気持ちをこめて用い
     られる。

作者・・伊勢=いせ。874~938。古今集時代の代表女流
    歌人。

出典・・拾遺和歌集・49。