天つ風 吹飯の浦に いる鶴の などか雲居に
帰らざるべき
           藤原清正(ふじわらのきよただ)
           (新古今和歌集・1723)
(あまつかぜ ふけいのうらに いるたずの などか
 くもいに かえらざるべき)

詞書・・殿上を離れまして詠みました歌。

意味・・天の風の吹く吹飯の浦に下りている鶴が、
    空に舞い戻るように、どうしてもう一度
    昇殿せずにすまそうか。きっと宮中の殿
    上に帰る事が許されるであろう。

 注・・天の風=空を吹く風。
    吹飯の浦=紀伊の国(和歌山)にある名所
     の海岸。
    雲居=高い空。「宮中」の意の「雲居」を
     掛ける。
    殿上=清涼殿の殿上の間に上る事を許さ
     れる事。四位・五位になると許される。

作者・・藤原清正=~958。「きよまさ」とも読む。
     紀伊守・従五位上。三十六歌仙の一人。