きのふまで 吾が衣手に とりすがり 父よ父よと 
いひてしものを
            橘曙覧(たちばなあけみ)
            (橘曙覧歌集・20)
(きのうまで わがころもてに とりすがり ちちよ
 ちちよと いいてしものを)

意味・・昨日まで、私の袖にすがりつき、父よ父よと
    言っていたものを。

    娘が四歳になつたので、物語など聞かせよう
    と楽しみにいた所、疱瘡にかかって死んだの
    で嘆きに沈んで詠んだ歌です。

 注・・衣手(ころもで)=袖。

作者・・橘曙覧=1812~1868。紙商の長男。父母に早
     く死別。家業を異母弟に譲り隠棲。福井藩
     主に厚遇される。