竹に降る 雨むらぎもの 心冴えて ながく勇気を
思いいしなり
             佐々木幸綱 (心の花)

(たけにふる あめむらぎもの こころさえて ながく
 ゆうきを おもいいしなり)

意味・・竹に静かに降りかかっている雨音を聞いていると、
    気持ちがさえて来る。その気持ちというのは、や
    らねばならないと思いつつ、行為に移せなかった
    自分に、エイッと立ち上がる勇気が出て来る時の
    その思いである。

    朝、起き上がるのに、あと少しあと少しと寝てい
    て、やっとエイッと起き上がった時のような気持
    を詠んでいます。

 注・・むらぎも=心にかかる枕詞。
    冴える=明朗になる。すっきりする。
    ながく勇気を思い=猪突猛進の勇気ではなく、心が
     屈している時に立ち上がらねばと思う時の勇気。

作者・・佐々木幸綱=ささきゆきつな。1938~。早稲田大
     学教授。日本芸術院会員。佐々木信綱の孫。