秋近う 野はなりにけり 白露の 置ける草葉も
色変わりゆく
         紀友則 (古今和歌集・440)

(あきちこう のはなりにけり しらつゆの おける
 くさばも いろかわりゆく)

詞書・・きちかうの花(桔梗の花)。

意味・・野原はすでに秋が近づいて来た。白露が置か
    れた草葉もだんだん枯れて色づく頃である。

    秋近うは「あきちかう」で「きちかう・桔梗」
    を詠んだ物名入りの歌です。
    桔梗は秋の七草であり、野原には桔梗の花も
    咲いていたと思われます。

 注・・きちかう=「ききやう」と同じ。桔梗。秋の
     七草の一つ。

作者・・紀友則=きのとものり。生没年未詳。紀貫之
     の従兄。古今和歌集の撰者。