旅人よゆくて野ざらし知るやいさ
                 太宰治

(たびびとよ ゆくてのざらし しるやいさ)

意味・・旅をしょうとする人よ。荒野を旅する
    には、野ざらしになる事も覚悟が出来
    ているのだろなあ。旅とはそれほども
    厳しいものだぞ。

    「野ざらし」とは野山で行き倒れとなり
    風雨にさらされた白骨のこと。
    作者も、行く先不明な荒野を旅する文学
    者として、死の覚悟をもって取り組む事
    を誓った句です。
 
    参考です。
    芭蕉が旅をする時の心構えの句です。

    野ざらしを心に風のしむ身かな
      (意味は下記参照)
          
注・・いさ=さあ知っているか、と語意を強め
     て問いかけた言葉。  

作者・・太宰治=だざいおさむ。1909~1948。
     東大文学部退学。小説家。玉川上水
     で自殺。「斜陽」「人間失格」。  

出典・・村上護「今朝の一句」。

参考句です。

野ざらしを心に風のしむ身かな
                 芭蕉
               (のざらし紀行)

(のざらしを こころにかぜの しむみかな)

意味・・旅の途中で野たれ死にして野ざらしの白骨
    になることも覚悟して、いざ旅立とうとす
    ると、折からの秋風が冷たく心の中に深く
    しみ込み、何とも心細い我が身であること
    だ。  

    遠い旅立ちにあたっての心構えを詠んでい
    ます。

 注・・野ざらし=されこうべ、野にさらされたもの。

作者・・芭蕉=1644~1694。「野ざらし紀行」「奥の細道」。