丹波路に うち越えくれば 野も山も 照る日ながらに
はだれ雪降る
             上田秋成 (藤簍冊子)

(たにわじに うちこえくれば のもやまも てるひ
 ながらに はだれゆきふる)

意味・・峠を越えて丹波(たんば)の国へ入って来ると、
    野にも山にも陽が射しているのに、はらはら  
    と雪がふっている。

    晴天にちらつく雪は風花(かざばな)と呼ばれ、
    遠くで降った雪が風に流されてひらひらと舞
    って来るためです。

 注・・丹波路(たにわじ)=篠山街道。京都から山陰へ
     向かう道。
    はだれ雪=斑雪。まだら雪。ここでははらはら
     と降る雪。

作者・・上田秋成=うえだあきなり。1734~1809。作家。
     「雨月物語」の作者。歌集「藤簍冊子・つづら
     ぶみ」。