萌え出づる 木の芽を見ても 音をぞ泣く かれにし枝の
春を知らねば
                    兼覧王女 

(もえいずる このめをみても ねをぞなく かれにし
 えだの はるをしらねば)

意味・・春になって萌え出る木の芽を見ても、私は声を
    上げて泣いております。枯れた枝は春になって
    も萌え出ることがないのと同様に、あなたに離
    (か)れた私に春は関係ありませんので。

 注・・かれにし=離れにし。「離れ」は身近なもの大
     切なものから離れ遠ざかる意。「枯れにし」
     を掛ける。

作者・・兼覧王女=かねみのおおきみのむすめ。未詳。

出典・・後撰和歌集・14。