乙女子が かざしの桜 咲きにけり 袖ふる山に
かかる白雲
           藤原為氏 (続後撰和歌集・70)

(おとめごが かざしのさくら さきにけり そでふる
 やまに かかるしらくも)

意味・・美しい乙女子の頭に飾りとして挿す桜が咲いた
    なあ。そして乙女が袖を振って舞うという袖ふ
    る山にも白雲のように桜が咲いている。

 注・・かざし=挿頭。頭髪や冠に花の枝を飾りとして
     挿す。
    袖ふる山=天理市にある布留山。大和国の歌枕。
     乙女が袖を振るのは舞う姿や人を招く意を含
     める。
    白雲=山に咲いた桜を白雲と見立てたもの。

作者・・藤原為氏=ふじわらのためうじ。1222~1286。
     正二位大納言。藤原定家は祖父。