ながき世に まよふ闇路の いつさめて 夢を夢とも
思ひあわせん
             藤原為子 (風雅和歌集・1909)

(ながきよに まようやみじの いつさめて ゆめを
 ゆめとも おもいあわせん)

意味・・暗闇をさまようようなこの世の煩悩もいつか
    覚め、その時には、夢は夢だと思いあたる事
    でしょう。

    煩悩はこの世における人間の持つさまざまな
    欲。人間はその持てるもののために迷い苦し
    むのである。
    為子は伏見院の中宮の永福門院に仕えた。当
    時は北条家の全盛。武家と皇室との対立の時
    代。皇室も南朝と北朝で対立していた。和歌
    の道でも、京極・二条・冷泉三家が対立する
    複雑な時代であった。見定め難い人の世に、
    醒めた眼で行く末を思い詠んだ歌です。

 注・・ながき世にまよふ闇路=「闇路」は心の迷い・
     煩悩・悩み。煩悩のために苦界を脱し得な
     い事。

作者・・藤原為子=生没年未詳。京極為兼の姉。伏見
     天皇の中宮・永福門院に仕える。「玉葉和
     歌集」の撰集に関与。