人知れぬ 大内山の 山守は 木隠れてのみ 
月を見るかな
          源頼政 (千載集・978)

(ひとしれぬ おおうちやまの やまもりは こがくれ
 てのみ つきをみるかな)

意味・・人に知れない大内山の山守である私は、木に
    隠れた状態でばかり月を見ることです。

    大内山の山守,つまり内裏守護番の私はいつも
    物陰からひっそりと帝を拝見するばかりです。

    内裏守護の役にありながら昇殿を許されない
    無念さを、帝を月に、我が身を賎(いや)しい
    山守になぞらえて表現しています。

    「平家物語」はこの歌によって頼政は昇殿を
    許されたという。

 注・・大内山=皇居、宮中。
    山守=山を守る事、山の番をする事。ここで
     は内裏の守護番。
    木隠れて=表立たない状態の比喩。
    昇殿=清涼殿の殿上の間の出入りが許される
     事。

作者・・源頼政=みなもとのよりまさ。1104~1180。
     平氏に叛(そむ)き宇治河合合戦に破れ自害。
従三位。