たらちめは かかれとてしも むばたまの わが黒髪を
なでずやありけむ
              遍照 (後撰集・1240)

(たらちめは かかれとてしも むばたまの わが
 くろかみを なでずやありけん)

意味・・私の母はよもやこのように出家剃髪せよと
    言って、私の黒髪を撫でいつくしんだので
    はなかったろうに。

    詞書により、出家直後に詠んだ歌です。
    出家直後の悔恨に近い複雑な心情が、母親
    へのいとおしさとともに詠まれています。

 注・・たらちめ=母の枕詞。母。
    かかれ=斯かれ。このような。
    出家=家庭生活をも捨てて仏門に入る事。
     仏門では5戒とも250戒とも言われる戒
     を修行して解脱への道を求める。

作者・・遍照=へんじょう。814~890。僧正。36歳
     の時に出家。