山開きたる雲中にこころざす
                 上田五千石

(やまひらきたる うんちゅうに こころざす)

意味・・富士山の山開きは7月1日。あいにく山は雲に
    閉ざされて目指す高嶺は視界にない。けれど
    富士は日本一の山だ。その頂上に向かって、
    大きな志を持って頑張ろうと決意する。

    五千石は山開きの日には富士山に登ることが
    多かったという。
    富士登山の途上にあって、自分に鞭打った歌
    です。
    ちなみに、田子の浦海岸より富士山頂をめざ
    せば、56キロの道程です。

 注・・山開き=その年初めて登山を許す事。富士
     山の山開きは7月1日。

作者・・上田五千石=うえだごせんごく。1933~。
     上智大卒。秋元不死男に師事。「眼前
     直覚」を理念として「いま・われ・こ
     こ」を詠む。

出典・・村上護著「今朝の一句」。