大工町 寺町米町 仏町 老母買う町
あらずやつばめよ
            寺山修司

(だいくまち てらまちこめまち ほとけまち ろうぼ
 かうまち あらずやつばめよ)

意味・・大工町があり、寺町があり、米町があり、仏町
    があり、其の他いっぱい町がある中で、私の老
    いた貧しい母を買ってくれる町はないだろうか。
    つばめさんよ。

    前世代の名称を引きずっている町の名(大工町・
    寺町・米町・仏町)を平面に並べ、最後に架空
    の町(老母買う町)を述べで地獄絵を描き、年老
    いた母の介護をする大変さを詠んでいる。

    介護施設のない時代は、老母を介護するために
    会社を辞めて世話をする事もあり、当人にとっ
    ては地獄を味わう苦しさである。

    老母を買う町があれば売ろうという地獄を描い
    た歌です。

 注・・大工町、寺町、大工町、米町、仏町=これらの
     名のついた町は全国にいくつかあります。
     茨城県水戸市大工町、京都市寺町、北九州小
     倉米町、石川県白山市法仏町など。

作者・・寺山修司=てらやましゅうじ。1935~1983。
     早稲田大学中退。   

出典・・歌集「田園に死す」。