晴着二枚と 替へたるいもは 宝なり 麦とかゆにして
いく日つながむ
                  金井規容子

(はれぎにまいと かえたるいもは たからなり むぎと
 かゆにして いくひつながん)

意味・・買出しに行って農家で晴着二枚と芋とを交換して
    来た。この芋は貴重なもので我が家の宝物である。
    この芋を麦のお粥にして食べて行くのだが、何日
    食いつなげるであろうか。

    昭和18年頃詠んだ歌です。当時、農家では闇値だ
    けでは米や野菜を売ってくれず、晴着や石鹸、地
    下足袋などと交換しなければならなかった。

    昭和18年頃の時代の背景です。
    戦争突入とともに経済体制は統制され、国民生活
    は破壊された。主食を自給出来ない日本は、外米
    の輸入にたよっていたが、戦局の悪化に伴い、外
    米の輸入が止まり、食料不足をまねいた。当然米
    飯中心の食事は維持出来ず、さまざまな代用食に
    頼らざるをえなくなった。

作者・・金井規容子=かないきよこ。生没年未詳。昭和
     19年2月号の「アララギ」に載る。

出典・・歌集誌「アララギ・19・2」(島田修二編「昭和
     万葉集秀歌)。