浦ちかく ふりくる雪は 白浪の 末の松山
こすかとぞ見る
                藤原興風

(うらちかく ふりくるゆきは しらなみの すえの
 まつやま こすかとぞみる)

意味・・海岸には、雪が風に乗って一面に降っているが、
    それは海から白波が押し寄せて来るようだ。そし
    て、波が絶対に越す事がないといわれる陸奥(み
    ちのく)の末の松山まで越すのではなかろうかと
    見えることだ。

    参考です。

    君おきてあたし心をわが持てば末の松山波も越え
    なむ         (古今集・1093)

   (あなたをさしおいて他の人に心を移すことなんて
    事があろうはずはありません。そんな事があれば
    あの海岸に聳える末の松山を波だって越えてしま
    うでしょう)

 注・・浦ちかく=海岸の付近。
    末の松山=宮城県多賀城市八幡。

作者・・藤原興風=ふじわらのおきかぜ。生没年未詳。

出典・・古今和歌集・326。