七里浜 夕日漂ふ 波の上 伊豆の山々
果てし知らずも
             西田幾太郎

(しちりはま ゆうひただよう なみのうえ いずの
 やまやま はてししらずも)

意味・・東京にいる時と比べ鎌倉にいると、ゆったり
    した時が流れている。急がなくてもいい。あ
    わてなくてもいい。そんな気分にしてくれる
    のが七里ガ浜である。今、藁の上に寝ころん
    でいる。
    今、夕日が沈み波の上は赤く光輝いている。
    山側では、富士山のシルエット、その右には
    丹沢、手前に箱根、左に天城山から伊豆半島
    全てが影絵のように浮かび上がる。そして、
    自分の小天地に入り、瞑想の世界に入って行
    く。
    今日も一日が無事に終わろうとしている。私
    の人生は波乱万丈であった。その苦悩の果て
    今は安らぎを感じさせてくれる。

    西田幾多郎の言葉「人間の至福は高屋にあら
    ず、風景にあらず、ただ無事平常の中にあり」
    の心境を詠んだ歌です。

    七里ガ浜にはこの歌の歌碑が建てられていま
    す。

注・・果てし知らず=「山々が果てなく続いている」
     の意と「苦悩の果てに安らかである」の意。

作者・・西田幾多郎=にしだきたろう。1870~1945。
     東大選科修了。京大教授。若い時肉親(姉・
     弟・娘二人・長男)の死、父の事業の失敗で
     破産、妻との離縁と多くの苦難を味わった。

出典・・尾崎佐永子著「鎌倉百人一首を歩く」。