心から うきたる舟に 乗りそめて 一日も浪に
濡れぬ日ぞなき
                 小野小町

(こころから うきたるふねに のりそめて ひとひも
 なみに ぬれぬひぞなき)

意味・・自分の心のままに「浮き」ではなく「憂き」た
    る舟に乗りそめて、一日も浪ならぬ涙に濡れな
    い日はありません。

    誰に強制されたものでなく、自分からその男と
    の関係を作り、今、つれない態度をとられたの
    であって、誰をも怨むことも出来ないと、嘆い
    ています。

 注・・心から=我が心から。
    うきたる舟=「浮き」に「憂き」を掛ける。
    浪=「波」に「涙」を掛ける。

作者・・小野小町=おののこまち。生没年未詳。840年
    頃、後宮(こうきゅう・ 王や皇帝などの后妃が
    住まう場所)に仕えた。六歌仙の一人。絶世の
    美女という小町伝説がある。    

出典・・後撰和歌集・779。