冬深き 夜の町より 帰り来て 小さき火鉢の
火をひとり吹く
               若山牧水

(ふゆふかき よるのまちより かえりきて ちいさき
 ひばちの ひをひとりふく)

意味・・冬も深まって来た寒い夜の街から、下宿へ帰っ
    て来たが、独り身のため、小さな火鉢に口をす
    ぼめ息をかけけて火を起こしている。

    明治41年早稲田大学を卒業したばかりの頃詠ん
    歌です。独り身のわびしい姿を詠んでいますが、
    当時の世間一般の日常生活を詠んだ歌です。
    暖房をとるためには、紙に火を付け火鉢の中の
    炭に火を移し、小さな火種を口をすぼめて息を
    かけながら大きくして行く。
    現在は、電気ストーブ、石油ストーブとスイッ
    チを入れれば即温まる時代ですか、昔の苦労を
    知るのもよいかと思います。

作者・・若山牧水=わかやまぼくすい。1885~1928。
    早稲田大学卒。尾上柴舟に師事。

 
出典・・歌集「収穫」(永田義直編著「短歌鑑賞入門」)