その子二十 櫛にながるる 黒髪の おごりの春の
うつくしきかな
                 与謝野晶子

(そのこはたち くしにながるる くろかみの おごりの
はるの うつくしきかな)

意味・・その乙女は今まさに二十歳、その長く豊かな
    黒髪は、梳(す)く櫛の目から溢(あふ)れ落ち
    て、流れるごとく清らかで美しい。まさにそ
    れは、夢多き青春の自信に満ちた誇らしさを
    思わせる。

 注・・おごり=誇り、わがままにふるまう。

作者・・与謝野晶子=よさのあきこ。1878~1942。堺
    女学校卒。与謝野鉄幹は夫。

出典・・歌集「みだれ髪」。