池水は 濁りににごり 藤なみの 影もうつらず
雨ふりしきる 
                伊藤左千夫

(いけみずは にごりににごり ふじなみの かげも
 うつらず あめふりしきる)

意味・・長い藤の花房が、もし池水が澄んでいたなら、
    きれいな姿を写していたであろうに。連日の
    雨のために、池はすっかり濁ってしまって、
    藤の花を見るどころでなく、雨がさんざんと
    降り続いている。

    長い藤の花房が美しく垂れ下がっているのを
    見るのは気持ちがよい。まして池に逆さに映
    った藤の花はいっそう美しさを表すだろう。
    この美しさを是非見たい。写真に撮ろうと構
    えているのに今日も雨だ。明日も雨だろうが
    諦めないぞ。

作者・・伊藤左千夫=いとうさちお。1864~1913。
    正岡子規に師事。小説「野菊の墓」は有名。

出典・・湯浅竜起著「短歌鑑賞十二月」。