時ならず 玉をぞ貫ける 卯の花の 五月を待たば
久しくあるべみ 
                 詠み人知らず

(ときならず たまをぞぬける うのはなの さつきを
 またば ひさしくあるべみ)

意味・・まだその時期ではないけれど、薬玉を作った。
    卯の花の咲く五月五日の節句が待ちきれなくて。

   「あなたが私の妻になる日が遠くて持ちきれない」
    と詠んだ前田夕暮の次の歌と気持ちは同じです。

   「木に花咲き 君わが妻と ならむ日の 四月なか
    なか遠くあるかな」

 注・・玉をぞ貫ける=五月五日の節句に、花の実を糸
     に通して薬玉を造り、健康を祈る習慣があっ
     た。ここでは薬玉のこと。
    久しく=時間が長い。
    べみ=・・に違いないので、・・のはずなので。
    久しくあるべみ=いつになるか分らないので。
     待ちきれないで。

出典・・万葉集・1975。