思い遣る すべの知らねば 片もいの 底にぞ吾は
恋ひなりにける 
                 粟田女娘子

(おもいやる すべのしらねば かたもいの そこにぞ
 われは こいなりにける)

意味・・私、あなたを恋してしまったんですけど、そ
    の気持ちをあなたが察してくださらないので、
    とてもさびしく、憂うつなんです。だから、
    ごらんなさい、私、こんな片もいになっちゃ
    たんです。

    自分の手で土をこね、作った蓋のない茶碗の
    底に、この歌を書いて大伴家持に贈ったもの
    です。恋の思いを、信頼関係がまだ築けてい
    なくとも、心をひらいて、まず意思表示。

    「心をひらく」、参考の言葉です。

    人生をひらくとは
    心をひらくことである。
    心をひらかずに
    固く閉ざしている人に、
    人生はひらかない。
   「ひらく」には、開拓する、耕す、
    という意味もある。
    いかに上質な土壌も
    コンクリートのように固まっていては、
    よき種を蒔いても実りを得ることはできない。

    心をひらき、心を耕す──
    人生をひらく第一の鍵である。

 注・・思ひ遣る=「思ひ」に、行かせたり、進めた
     りする意味の「遣る」が付いた言葉。ここ
     では、気持ちを晴らすという意味。
    すべ=術。手段、方法、手立て。
    片もい(かたもい)=「もい」は土で作った
     茶碗。「片もい」は蓋のないもの。「片思い」
     を掛ける。

作者・・粟田女娘子=あわだめのおとめ。伝未詳。

出典・・万葉集・707。