たなぞこに 掬ひしけむり 身にふりかけ 息災願ふ
かたはらを行く
                    清水房雄

(たなぞこに すくいしけむり みにふりかけ そくさい
 ねがう かたはらゆく)

意味・・手のひらで掬った香の煙を、身にふりかけて無事
    を願っている人々のかたわらを通り過ぎている。

    浅草観音を参詣する情景を詠んでいます。手のひ
    らで煙を掬い息災を願う庶民たちの信仰。この願
    いを持つ人々への愛惜。また、そういう願いを持
    つという人間の悲しさに心を寄せて詠んだ歌です。

 注・・たなぞこ=たなごころ。手のひら。掌。
    息災=仏の力で災難をなくすこと。

作者・・清水房雄=しみずふさお。1915~ 。東京文理大
    卒。土屋文明に師事。

出典・・歌集「風谷」(武川忠一篇「現代短歌鑑賞辞典」)