年のはに かくも見てしか み吉野の 清き河内の
激つ白波 
                  笠金村

(としのはに かくもみてしか みよしのの きよき
 こうちの たぎつしらなみ)

意味・・毎年このように見たいものだ。吉野の清らかな
    河内の激しく流れる白波を。

    吉野川が流れている激流のあたりにある山では、
    木々は青々とした枝を張りめぐらせて生い茂っ
    ている。この木々のように若々しい姿で、美し
    く流れるこの吉野川を毎年見たいものだ。

 注・・年のは=年の端。毎年。
    かくも=斯くも。このよう。ここでは、山に生
     い茂った若々しい木の葉の意。
    見てしか=見たいものだ。「てしか」は願望を
     表す助詞。ここでは若々しい姿で見たい、と
     いう意が含まれている。
    河内=川を中心に山に囲まれた地。

作者・・笠金村=かさのかねむら。伝未詳。

出典・・万葉集・908。