*************** 名歌鑑賞 ***************


数ならぬ しづが垣根の 梅が枝に 身をうぐひすの
音をのみぞなく
                 大納言北の方

(かずならぬ しずがかきねの うめがえに みを
 うぐいすの ねをのみぞなく)

意味・・人数にも入らない身分賎(いや)しい私の家の
    垣根の梅の枝に、鶯が来て鳴いていますが、
    私も鶯のように、我が身が辛いと思って、声
    を挙げて泣いています。

 注・・うぐひす=「う」は「鶯」と「憂」を掛ける。
    なく=「泣く」と「鳴く」を掛ける。

作者・・大納言北の方=物語の登場人物。北の方は貴
     人の妻。

出典・・樋口芳麻呂著「王朝物語秀歌選」。