**************** 名歌鑑賞 **************


かりに来と 恨みし人の 絶えにしを 草葉につけて
しのぶころかな
                  曽禰好忠

(かりにくと うらみしひとの たえにしを くさばに
 つけて しのぶころかな)

意味・・その時だけのいい加減な気持ちで訪ねて来る
    人だと恨んだものだが、草葉が茂り刈る時期
    になっても、今では全く来なくなって見ると、
    懐かしく思い出されることだ。

    誠意がなくて訪ねて来ていた人でも、全く来
    なくなって見ると懐かしく思われて来る、と
    詠んだ歌です。

 注・・かりに=「仮に・かりそめに」と「刈り」を
     掛ける。
    絶えにしを=全く来なくなった。
    草葉につけて=草葉の茂るにつけて。「茂る」
     を補って解釈する。

作者・・曽禰好忠=そねのよしただ。生没年未詳。平
    安時代の三六歌仙の一人。

出典・・新古今和歌集・187。