**************** 名歌鑑賞 **************
 
 
桐の葉の 積もるがうへに うちそそぐ あしたの雨ぞ
秋の声なる
                   橘千蔭

(きりのはの つもるがうえに うちそそぐ あしたの
 あめぞ あきのこえなる)

意味・・桐の葉が積もった上に降り注ぐ朝の雨の音は、
    まさに秋の声というのにふさわしい。

    桐の葉が一枚また一枚と散ることで秋の風情
    を知るというのが一般的だが、散り敷く桐の
    葉に雨が落ちる音に、秋の情緒を感じていま
    す。

作者・・橘千蔭=たちばなちかげ。1735~1808。賀
    茂真淵に師事。田沼意次(おきつぐ)の側用人。

出典・・歌集「うけらが花」(小学館「近世和歌集」)