*************** 名歌鑑賞 ***************
 
 
冬枯れの 森の朽葉の 霜の上に 落ちたる月の
影の寒けさ 
                藤原清輔
             
(ふゆがれの もりのくちばの しものうえに おちたる
 つきの かげのさむけさ)

意味・・冬枯れの森の朽ち葉に置いた霜の上にさして
    いる月の光は寒々としている。

    蘇東披(そとうば)の「後赤壁腑(ごせきへきの
    ふ)」の詩の次の部分を念頭に詠んでいます。

    霜露(そうろ)既に降り、木の葉尽(ことごと)く
    脱す。人影地にあり、仰ぎて明月を見る。

    冷え冷えとした月を見て顧みると、明月のころ
    客が来て楽しんだものだ。この時酒が切れ肴も
    無くなったので探し求め、また飲んだものだ。
    だが今は、厳しい冬の寒さだ。

作者・・藤原清輔=ふじわらのきよすけ。1104~1177。
    正四位下。歌学に優れ当時の第一人者。歌学書
    「袋草子」家集に「清輔朝臣集」。

出典・・新古今和歌集・607。