**************** 名歌鑑賞 ***************
 
 
神さぶる 荒津の崎に 寄する波 間なくや妹に
恋ひわたりなむ
                土師稲足

(かみさぶる あらつのさきに よするなみ まなくや
 いもに こいわたりなん)

意味・・この荒津の崎に神々しく絶える間もなく、寄せ
    ては砕ける波のように、これから長い旅の間、
    絶え間なく都に残して来た妻を恋しく思い続け
    ることだろう。

    遣新羅使(けんしらきし)が詠んだ歌です。

 注・・神さぶる=神々しい気分がある、厳(おごそ)か
     である。
    荒津の崎=博多湾に臨む福岡市西公園のあたり。
    間なく=絶え間がなく。

作者・・土師稲足=はにしのいなたり。生没年未詳。736
    年韓国の南部にあった新羅国に派遣された。

出典・・万葉集・3660。