***************** 名歌鑑賞 ****************


梢ふく 風の心は いかがせん したがふ花の 
恨めしきかな         
                                            西行

(こずえふく かぜのこころは いかがせん したがう
 はなの うらめしきかな)

意味・・梢を吹く風の心は、どうすることも出来は
    しない。でもその風の心のままに散ってゆ
    く花は何とも恨めしく思われることだ。

    無情の風が吹いて花を散らせてしまうのは
    仕方がないとしても、どうして花がそんな
    風の言うままに散ってしまうのかと、自分
    にとって好ましい花が時流に押し流されて
    手元から消えてしまうのを嘆いた歌です。

          人のいいなりにならずに、少しは抵抗して
      骨のある所を見せて欲しいものだ。    

 注・・いかがせん=「いかが」は反語を表す。
     どうしょうもない。

作者・・西行=1118~1190。

出典・・山家集・122。