*************** 名歌鑑賞 ****************


忘れ草 しげれる宿を 来て見れば 思ひのきより
生ふるなりけり      
                 源俊頼

(わすれぐさ しげれるやどを きてみれば おもい
 のきより おうるなりけり)

意味・・あなたが私を忘れるという名の忘れ草が茂って
    いるあなたの宿を尋ねて来て見ると、あなたの
    「思い退き」という軒から生えているのだった。

    かっての恋人から忘れられるようになったが、
    気持が遠のいている事が確認できたので自分も
    諦めがついた、という事を詠んだ歌です。

 注・・忘れ草=萱草、忍草、恋人を忘れる比喩。
    思ひのき=思ひ退き(気持が遠ざかる)の意に
     軒を掛ける。

作者・・源俊頼=みなもとのとしより。1055~1129。
    金葉和歌集の撰者。

出典・・金葉和歌集・439。