****************** 名歌鑑賞 ******************


はかなしや 命も人の 言の葉も たのまれぬ世を
たのむわかれは       
                兼好法師
 
(はかなしや いのちもひとの ことのはも たのまれぬ
 よを たのむわかれは)

意味・・はかないものだ。人の命も人の言葉も当て
    にならないこの世なのに、別れに際しての、
    再開を期する言葉を頼みにすることとは。

    退職するような時で、もう人との交際も期
    待出来ず、一人ぽっちの寂しい思いになっ
    ている時に、再会の別れの言葉に期待した
    時のような気持ちを詠んでいます。

 注・・たのむ=頼む。たよりにする、期待する。

作者・・兼好法師=けんこうほうし。1283~1350。
    出家前の名は吉田兼好。当代和歌の四天王。
   「徒然草」を書く。
 
出典・・岩波文庫「兼好法師家集・36」。