*************** 名歌鑑賞 ****************


世をあげし 思想の中に まもり来て 今こそ戦争を
憎む心よ
                  近藤芳美
              
(よをあげし しそうのなかに まもりきて いまこそ
 せんそうを にくむこころよ)

意味・・世間の全てが軍国主義に駆り立てられていった
    状況の中で、ひそかに守ってきた思想がある。
    今こそ戦争を憎む心を高らかに表明し、その立
    場を貫きとおして行きたい。

 注・・思想=ここでは軍国主義思想の意。

作者・・近藤芳美=こんどうよしみ。1913~2006。
    神奈川大学教授。中村健吉・土屋文明に師事。
    社会派の歌人。歌集に「早春歌」「埃(ほこり)
    吹く街」など。
 
出典・・歌集「埃吹く街」(笠間書院「和歌の解釈と鑑賞
    辞典」)