************** 名歌鑑賞 ***************


家ありや 芒の中の 夕けむり  
                  童門冬二

(いえありや すすきのなかの ゆうけむり)

意味・・家の周りは通常、田や畑であって作物が
    育っているはずなのだが、ここは薄に被
    われて生活をしていることだ。

    作句の動機、状況。
    貧困の部落のため、堤の修理もままなら
    ず、そのために毎年水害が発生するよう
    になった。その結果投げやりになって本
    業をやめて、遊びや博打も含めて他の余
    業に精を出すようになった。その結果、
    田や畑は薄や茅(かや)が茂るようになっ
    だ。村人の心に薄が生い茂っているのだ。
    心の中の薄や茅を刈り取らねばと言った
    ものです。
       
 注・・夕けむり=夕煙、夕食の炊飯の煙。
 
作者・・童門冬二=どうもんふゆじ。1927~ 。
    東海大学付属中学卒。歴史小説家。
 
出典・・童門冬二著「小説・内藤丈草」。