*************** 名歌鑑賞 *************


はれずのみ 物ぞ悲しき 秋霧は こころのうちに
立つにやあるらん      
                和泉式部

(はれずのみ ものぞかなしき あきぎりは こころの
 うちに たつにやあらん)

意味・・ただもう心がうっとうしくて物事を悲しく
    思うばかり。秋霧は外ばかりでなく私の心
    の中にも立つゆえであろうか。
 
    何をしてもポカばかりして、事が運ばない。
    こんな気分の時の歌です。

 注・・はれずのみ=晴れずのみ。心の晴れる事なく。
    物ぞかなしき=物事を悲しく思う。

作者・・和泉式部=いずみしきぶ。生没年未詳、980
    年頃の生まれ。「和泉式部日記」など。
 
出典・・後拾遺和歌集・293。